そのほか、ネコのてんかん発作をひきおこす病気には、とくに高齢のネコに多い脳腫瘍や真性多血症などがある。
髄膜に病巣をもつ髄膜腫など、脳腫瘍になると、脳神経細胞を圧迫して、てんかん発作などをおこしやすくなる。髄膜腫などは、画像診断で病巣を検出できれば、外科手術でとりのぞくことができるため、アメリカでは手術例も多いが、ネコの頭が小さくて、手術の難易度が高く、また、クリーンルームや手術用顕微鏡など特別の設備・機器が必要なため、日本ではそれほど普及していない。
真性多血症とは、赤血球が異常にふえる病気で、そのために、血液が粘ついて流れが悪くなり、脳内の血管に十分な血液が行きわたらず、失神して、痙攣発作などをおこしやすくなる。発作がくり返されるうちに、特定の病変ができ、発作をひきおこす。
また、まれに避妊手術のあと、痙攣発作をおこして、突然死するケースもある。渡辺動物病院の事例(二例)では、ともに生命に別状はなかったが、発作の症状がのこった。このネコは手術前の身体検査では異常がみとめられず、原因は不明だが、発作後の血液検査で、ボルナウイルスの陽性反応が出た。
そのほか、ネコには、虚血性脳症という、脳内の動脈の一部分がつまって、その周辺の脳神経細胞が壊死し、それによって痙攣発作などをおこす病気もある。これは、アメリカで報告されている発作事例だが、まだ、日本では見つかっていない。ネコの場合、脳の血管造影検査がおこなわれていないため、脳内部の血管の状況をくわしく知ることができない。
人の場合、画像診断や外科手術の急速な進歩で、脳内の病気にかかわる診断・治療技術は飛躍的に向上した。現在、獣医療の現場でも、CTやMRIなどの画像診断は普及しはじめているが、まだ、大学附属病院や一部の動物病院にかぎられていて、動物の脳内部の病気については未知の領域も多い。
*この記事は、2000年11月15日発行のものです。
監修 渡辺動物病院副院長 渡辺直之氏「てんかん発作をおこす」より転載。
当時、この記事をよく参考にしていました。どの症状別説明文よりこの説明文が
一番、わかり易く、サスケの症状にぴたっと当てはまっていたからです。
<サスケのママ>